日本太鼓道場の稽古は月に3回、1回2時間。藤舎清成先生による指導のもと、行われます。
2時間のうち、前半1時間は太鼓に向かう身体の構え方、バチの握り方から打ち方までの基礎稽古です。
和太鼓を演奏する上で、不可欠な打ち方のバリエーションが10種類ほどあり、まずその基本の打ち方の稽古をします。
一番最初に16、32、64という打ち方を学びます。大きく強く大切に打つ16打。流れるように止まることなく打つ32打。速くしなやかに打つ64打。太鼓の皮の面(めん)の中心から、バチの先を真っ直ぐに上げて、また中心に向かって真っ直ぐにふり落とすことにより音を出します。
パワーではなく、スピードと回転力をもって、いかに遠くまで響く「いい音」を出せるか。無駄な動きを削ぎ落とし、バチの先まで神経を行き渡らせ、どれだけ手足を長く美しく見せられるか。
一人ひとりが丁寧に音を出すこと、また全員で打った時にどれだけ揃った音をユニゾンで合わせられることが出来るか。たったの1打をも妥協することなく、これが日本太鼓道場の音だということを、長い時間をかけて、先生が叩きこんでいきます。
そして、洋楽の音符(おたまじゃくし)にはない「ドロスク」という打ち方。「ス」という音のない音の間(ま)は和太鼓独特のものです。特に先生はこの「ス」という音にこだわりを持っています。
また太鼓のふちを打つ「カラカラ」「カラカ」などの打ち方も和太鼓では非常に重要となります。力任せにうるさく打つ音ではなく、芯のある音、綺麗に揃った音を追及します。
一人ひとりの音・姿勢や打ち方を、先生が厳しい眼差しで確認し修正していきます。後半1時間は、演奏曲の稽古です。
一番最初に、日本太鼓道場の代表曲でありながら、基礎の全てが盛り込まれた曲「清鳴(せいめい)」を練習します。この曲を覚えて人前で打てるようになるまで、1〜3年かかりますが、清鳴が打てれば、他の曲は楽に打てるようになるといわれています。
実際は、他の曲も全て難度が高く、簡単に打てる曲は日本太鼓道場には一つもありません。ですが難しいからこそ、その一曲一曲をやっと演奏できるようになった歓びはかけがえのないものです。
初心者も上級者も分け隔てなく。納得のいく音が出せるまで、何度も、何度でも先生の指導は繰り返されます。正直、太鼓を打つことが楽しい。というところに辿り着けるまで、時間がかかるかもしれません。
楽しく楽器を演奏するカルチャースクールや、体力作りやエクササイズを目的とした太鼓教室とは違うかもしれません。
日本太鼓道場は、本当の太鼓の音を出す難しさ、伝統を受け継いでいく厳しさを、藤舎清成先生の長く超絶な太鼓人生で培った技術、精神、理論に基づいた和太鼓の真髄を、後世未来にこの和太鼓の響(とよみ)を残すべく、日々精進しております。
「和太鼓の真髄」とは、何か…。
ご興味がありましたら、いつでも稽古の見学にいらしてください。